幸せの青い鳥選手権
幸せの青い鳥はどれだ!なんていうのは、よくある野鳥ネタですが、だいたいそこで出てくるのは、オオルリ、コルリ、ルリビタキです。円山でもこの三種は見られます。春先は特にオオルリはきれいな声でさえずっているので、目につきやすいです。
どれが青い鳥にふさわしいかといえば、私的には青い鳥といえばオオルリ。鮮やかな瑠璃色と気品のある佇まい、白と黒とのコントラストもあってより一層青が目立ちます。1位はオオルリに決定。
2位は僅差でルリビタキかな。明るめの青と脇腹のオレンジがとっても美しくて、幸せな気分になります。青い鳥といいながらも、オシャレなオレンジ色をちょこっと使用しているのが、反則すれすれですが、かわいいからOKです。
3位はコルリ。オオルリは黒が青を引き締めているし、ルリビタキはオレンジが青を際立たせています。その点コルリは青の見せ方が少し弱い気がします。
結局青をどううまく見せるかの勝負になってしまった。幸福感はあんまり関係ありません。
本家、幸せの青い鳥ってどれ?
実際のところ、幸せの青い鳥論争(?)の決着は、どこもウヤムヤでお茶を濁している感じ。こうなると本家「青い鳥」の作者メーテル・リンクの頭の中にあった青い鳥はいったいどの種なのかが気になります。メーテル・リンクが暮らしていた場所には、青い鳥はいたのか?
メーテル・リンクの出身地ベルギーの青い鳥を調べてみた
「List of birds of Belgium」というベルギーの野鳥リストを見ると、それらしい青い鳥はルリビタキとイソヒヨドリが載っています。オオルリやコルリは、ベルギーでは見られないようです。ルリビタキはいかにも幸せそうな雰囲気がありますが、イソヒヨドリは青がちょっとくすんでいて、お腹も錆色で青と同じくらい目立っているので、青い鳥と呼ぶにはどうなんだろう。
と思っていたら、どうやら日本のイソヒヨドリは亜種で、種としてのイソヒヨドリ(Monticola solitarius)英名 blue rock thrush は全身青色なので、まぁ鮮やかな青とは言えないけれど、十分青い鳥の範疇には入りそうです。
もうちょっと調べていると意外なニュースを見つけました。
ベルギーで珍しいイソヒヨドリが147年ぶりに出現
ベルギーにおけるこれまでのイソヒヨドリの最初で唯一の目撃例は、1877 年にナミュール州オロイ市で鳥が捕獲されたことに遡ります。
The Brussels Times , 2024年 1月 6日 土曜日
ベルギーの野鳥ファンにとって、イソヒヨドリの発見は素晴らしいニュースであり、すでに100人以上のバードウォッチャーがデュルビュイに殺到している。「熱狂的な野鳥観察家にとって、この鳥は新年の始まりにぴったりの鳥です。
どうやら、迷鳥のようです。野鳥リストにあったイソヒヨドリは、この時の記録かもしれません。記事の写真を見るとまさに全身青いイソヒヨドリ。やっぱり珍しかったんだね。
そうなるとベルギーで普段見ることが出来る青い鳥は、ルリビタキってことで、いいんじゃないでしょうか。幸せの青い鳥の正体は、ルリビタキ!!
いや、待て待て。
記事をよく読んだら、「イソヒヨドリの最初で唯一の目撃例は、1877年」と書いてある。メーテル・リンクさんの生まれたのは、1862年。て、ことは当時15歳。1877年の青い鳥捕獲のびっくりニュースも見ていたんじゃなかろうか。
それに原作ではかごの中にいた鳥「tourterelle」フランス語で「キジバト」が青い鳥に変わったと書いてある。キジバトは33cm,イソヒヨドリは23cm,ルリビタキは14cm。33cmが14cmに変わっていたら色が変わったどころじゃなくて、違う鳥になちゃった!だよね。体型的にもイソヒヨドリのほうがまだ近いか。うーん。
結論:メーテル・リンクの青い鳥はイソヒヨドリ
心情的には幸せの青い鳥はルリビタキがピッタリと思うけど、少年の頃青い鳥発見のニュースに心ときめいて「青い鳥」を書いた説をとって、「イソヒヨドリ」で最終決定といたします(個人的見解)。
残念ながら円山あたりではイソヒヨドリは見られないかな。
それはそれとして、オオルリでもコルリでもルリビタキでも、青い鳥はなかなかいないから、見られたらラッキー!と思って、幸福な気分に浸ってください。
注)The Brussels Times の記事の中の “blue rock thrush” はGoogle翻訳だと「青いイソツグミ」と訳されました。”thrush” は英語でツグミなんだけど、実はヒタキ科の鳥です。でも昔はツグミの仲間だと思われていたんですね。英語名は青くてツグミに似ていたからアオイソツグミとよばれ日本ではヒヨドリに似ているからイソヒヨドリと呼ばれ、実際はツグミでもヒヨドリの仲間でもなく、ヒタキの仲間というややこしい名前の鳥です。