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エゾリス通信

北海道札幌市の円山公園周辺は、 エゾリスをはじめとして様々な野鳥や、植物が豊富です。都市の中の原始林を楽しみながら未来に残しましょう。

鳥の羽毛の色彩を際立たせているは隠れた無彩色!?

Image by Mario E Campos Sandoval from Pixabay

仕事では、色を決めなければならない場面が多々あります。決めるときにはとても悩みます。配色はもちろん、色の面積や素材、晴れている日と雨の日など、状況によって色の見え方が変わるからです。ああでもない、こうでもないと時間をかけて考えますが、実はこの時間が一番楽しいのかも。

羽毛状部の先端によって形成される最も外側のカラフルな層と、羽毛状部の基部によって形成される最も内側の綿毛のような層が存在します。羽毛の色彩に関する研究では、一般的に、最外層の羽毛層の光学的特性が羽毛の色を決定し、この層のみがシグナル伝達の選択を受けると想定されています。しかし、羽毛の「隠れた」領域も光を反射・吸収しており、羽毛層は不透明ではありません。このことから、目に見える羽毛層と隠れた羽毛層の間には、重要でありながら見落とされている光学的相互作用が存在する可能性が示唆されます。

science隠れた白と黒の羽毛層が、フウキンチョウ科や鳴禽類の羽毛の色彩を際立たせる

野鳥の羽毛には「構造色」と「カロテノイド色素」による色があります。構造色は、羽毛の微細な構造によって光が干渉・散乱することで生じ、青や紫といった色が生み出されます。カロテノイド色素は植物や動物に含まれる天然の色素で、主に赤・オレンジ・黄色を構成します。これらの色のおかげで、羽毛は見る角度によって色が変わって見えたり、美しい模様が現れたりします。

しかし、これだけで済まないのが野鳥の羽毛です。1本の羽毛の中でも、上部と下部で色が異なることがよくあります。上部の、外から見える部分は構造色やカロテノイド色素によって鳥の基本的な色が構成されていますが、下の方の隠れた部分は無彩色であることが多く、これが見えている色をより引き立てる役目をしているらしいです。

調査によると、フウキンチョウ科の羽毛は、カラフルな先端部分、白または黒の隠れて見えにくい層、そしてふんわりとした基部の三層構造になっています。白い層はカロテノイド色素の明度を増加させ、黒い層は構造色の彩度を高めているとのこと。こうして鳥は複雑で艶やかな色彩をまとっているのですね。

また、オスはカラフルな色素の下にに白い層を、メスは黒い層を持つことが観察されました。羽の表面の色はオスもメスも似ていますが、隠れた無彩色の層の色が違うため、メスのほうが控えめで地味に見えるそうです。

写真でも、背景が黒だと色が鮮やかに見えることがありますし、カラーを決めるときには、窓を切り抜いた黒やグレーの紙を当てて確認したりします。ファッションの世界でも似たような工夫があるかもしれませんね。
鳥たちも羽毛の色を決めるのに、いろいろ考えている…わけではなく、正確には鳥の「遺伝子」が決めているんですね。そう思うと、なんだかこっちのほうがすごい気がします。