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エゾリス通信

北海道札幌市の円山公園周辺は、 エゾリスをはじめとして様々な野鳥や、植物が豊富です。都市の中の原始林を楽しみながら未来に残しましょう。

ヘビイチゴ

ヘビイチゴ
蛇苺
Potentilla hebiichigo

  • 目:バラ目
  • 科:バラ科
  • 属:キジムシロ属

5月の下旬ごろ、黄色くて可愛い花を咲かせます。花の大きさは12から15mmくらい。葉は3小葉(一つの葉柄から3つの小葉が出ている)で鋸歯があります。多年草。

萼片と副萼片の大きさが同じくらいで、葉の形は丸みを帯びています。赤い実を付けます。痩果(そうか)にはシワがあり、そのため赤い実全体に艶がないように見えます。

ヘビイチゴによく似た花にヤブヘビイチゴもあります。これがなかなか見分け方が難しい。ヘビイチゴは葉っぱの形が丸みを帯びていますが、ヤブヘビイチゴはちょっとだけ鋭角的。ヤブヘビイチゴの副萼片は萼片より大きい。ヘビイチゴの実は表面に艶がない。それに加えて、ヒメヘビイチゴというのもあって、余計こんがらがってくる。だんだんわからなくなってきたので、イチゴの仲間の見分け方もフローチャートにしてみました。円山公園には、ヘビイチゴもヤブヘビイチゴもヒメヘビイチゴもあるので、ぜひ見比べてみてください。

イチゴの話

苺は丸く膨らんだ実を付けますが、この部分は花床(かしょう)とか花托(かたく)と呼ばれる部分が膨らんだものです。その外側にある沢山の小さなツブツブが果実で、これは痩果(そうか)といって、中に種が入っています。てっきり外側のツブツブが種かと思ってました。実の外に種が付いていたらおかしいよね。果実だと思って食べていた部分は、実は花托(かたく)なのでした。でも果実も一緒に食べていたということだから、まぁいいか。

ヤブヘビイチゴ

ヤブヘビイチゴ
藪蛇苺
Potentilla indica

  • 目:バラ目
  • 科:バラ科
  • 属:キジムシロ属

5月の下旬ころから黄色い花を咲かせます。花の大きさは15から25mm。葉は3小葉(一つの葉柄から3つの小葉が出ている)で鋸歯があります。多年草。

萼片より副萼片が大きく、葉の形はヘビイチゴに比べて鋭角的。赤い実を付けます。痩果(そうか)にシワは無く、ツルツルしています。赤い実は、ツヤツヤして見えます。

よく似ているヘビイチゴに比べて、葉や花、果実は少し大きめ。赤い実が付くと艶があるので、ヘビイチゴと区別がつきやすいです。ヘビイチゴの実は艶がありません。

オランダイチゴ属であるエゾヘビイチゴに比べてキジムシロ属であるヘビイチゴ、ヤブヘビイチゴ、ヒメヘビイチゴは、食べても美味しくないようです。エゾヘビイチゴは姿形はよく似ていますが、白い花をつけるのですぐに分かります。

よく似たイチゴの仲間の見分け方を写真付きのフローチャートにしてみました。
こちらも見てください。

ヒメヘビイチゴ

ヒメヘビイチゴ
姫蛇苺
Potentilla centigrana

  • 目:バラ目
  • 科:バラ科
  • 属:キジムシロ属

5月の末から6月のはじめ頃咲き始めます。花は黄色で6から8mmくらい。ヘビイチゴやヤブヘビイチゴと比べると、花は小さく、花柄も細く長いです。全体的に小さくか弱い感じがします。他のヘビイチゴは赤い実を付けますが、ヒメヘビイチゴは緑っぽい小さな実を付けます。葉は3小葉(一つの葉柄から3つの小葉が出ている)で鋸歯があります。多年草。

実が付いても赤くないので、全然目立ちません。花も落ちてしまうとすっかり周りの緑に溶け込んでしまいます。動物園に向かう円山川沿いの散策路やユースの森に咲いています。

よく似たイチゴの仲間の見分け方を写真付きのフローチャートにしてみました。
こちらも見てください。

イチゴの仲間

円山周辺で名前にイチゴとつく植物は

があります。
ナワシロイチゴはキイチゴ属。エゾヘビイチゴはオランダイチゴ属。その他はキジムシロ属です。大雑把に言うとナワシロイチゴは木の仲間で、他の◯◯ヘビイチゴは草の仲間です。一般的には木になるのが果物で、草になるのが野菜と分類されます。

ナワシロイチゴは花も実もひと目で違いがわかるので問題ありません。エゾヘビイチゴは花が白いので、これもすぐ区別がつきます。ヘビイチゴ、ヤブヘビイチゴ、ヒメヘビイチゴは、いずれも黄色い花で葉っぱの形も似ているので、見分けるのがちょっと難しいです。また、円山のエゾヘビイチゴは赤い実をつけるのと白い実をつけるもの(白実のエゾヘビイチゴ)があります。花や葉を見ての見分け方はわかりません。そのうちじっくり観察してみようと思います。

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ギンランの仲間

円山近辺では、ギンランとクゲヌマランが見られます。ササバギンランはまだ見たことがないけど、もしかしたらどこかに咲いているかも。
ギンランとクゲヌマランはよく似ていますが、違いは距が見えるか、見えないか。高さを比べてもクゲヌマランのほうが高いのでわかりやすいかと思いますが、咲き始めの頃はよくわかりません。円山では同じようなところに咲いていますが、クゲヌマランは単独であちらこちらに広く分布しているような気がします。

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ウシハコベ

ウシハコベ
牛繁縷
Stellaria aquatica

  • 目:ナデシコ目
  • 科:ナデシコ科
  • 属:ハコベ属

花弁は白く、5枚だが根本まで深く切れ込んでいるので10枚に見える。茎の下部は地面をはい、上部は20から50センチほど立ち上がる。茎は節の部分が紫色をを帯びて上部には腺毛が生えている。上部の葉には柄がなく、茎を抱いている。萼には腺毛が密生している。越年草、多年草。

ハコベの仲間では、雌しべが5本なので見分けやすい。他のハコベは雌しべが3本。咲き始めるのは5月下旬から6月初めで、ミドリハコベやコハコベよりも遅いです。円山動物園の中で咲いています。

よく似た植物、ウシハコベ、ミヤマハコベ、ミドリハコベ、コハコベの見分け方はこちらをご覧ください。