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エゾリス通信

北海道札幌市の円山公園周辺は、 エゾリスをはじめとして様々な野鳥や、植物が豊富です。都市の中の原始林を楽しみながら未来に残しましょう。

アキノキリンソウ

アキノキリンソウ
秋の麒麟草
Solidago virgaurea var. asiatica

  • 目:キク目
  • 科:キク科
  • 属:アキノキリンソウ属

8月末から10月はじめ頃咲いています。黄色く小さな花をたくさんつけます。高さは30センチから80センチくらい。
9月頃円山の登山道に結構咲いています。

アキノキリンソウの高山型で、亜種のミヤマアキノキリンソウというのもあって、背丈が低いとか花が頂部に固まっているとか、総苞片がアキノキリンソウが4列でミヤマアキノキリンソウが3列とか、色々あるらしいんだけど、中間型もあるんで区別が難しいなんて書いてある。よくわかりません。標高225mの円山が高山とも思えないけど・・・

「北海道 山の花図鑑 藻岩・円山・八剣山」を見ると、ミヤマアキノキリンソウは八剣山にあると書いてある。ちなみに、この本ではアキノキリンソウは総苞片が3段、ミヤマアキノキリンソウは4列と書いてあった。書き間違いかな。

カタバミ

カタバミ
片喰、酢漿草
Oxalis corniculata

  • 目:カタバミ目
  • 科:カタバミ科
  • 属:カタバミ属

花は、5月から9月、大雑把に春から秋です。高さは10センチから30センチくらい。葉は、ハートが3つ合わさった形で、キュート。花が咲いてなくてもわかります。一輪の小さくて黄色い花をつけます。日が当たると咲くようで、曇っていたり夕方には花が閉じています。

近所の駐車場の端っこや道端でよく見かけます。

葉っぱが赤っぽいものは、アカカタバミと呼ぶそうですが、これが都市部のヒートアイランドに対する適応進化ではないかということで、研究が進められているそうです。

都市の熱さで植物は赤く進化する ―ヒートアイランドへの急速な適応進化を初めて実証―

 研究グループは、カタバミという世界中の都市や農地に生えている植物に注目しました。カタバミには、明確な特徴があります。通常の緑の葉を持つ個体だけでなく、真っ赤な葉を持つ個体まで種内に葉色の変異があるのです。そしてカタバミの赤葉は、個体内で緑から赤に変化する樹木の紅葉などと違い、生まれたときから赤いままです。つまりカタバミの葉色の違いの多くは遺伝的に決まっている遺伝的変異といえます。都市のカタバミは路傍に生えており、高温ストレスを強く受けているように見えます。研究グループは、都市部では赤いカタバミが多いことに気が付き、これは都市の高温に対する適応進化かもしれないと考えました。

研究によると、どうやら高温時には、緑の葉よりも赤い葉の方が、光合成で高い活性化を示し、高温ストレスに対して耐性が強いようです。都市の高温ストレスがカタバミを赤く進化させているのではないかとのことです。

詳しくは、こちらの論文から
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abq3542

地球温暖化で、植物も新しい気候に対応するのが大変です。札幌はあまり赤いカタバミを見ないような気がしますが、これから増えてくるかもしれません。そのうち地球上の植物は、ウェルズの「宇宙戦争」に出てきた火星の植物みたいになるのかも。さて、このような環境の変化に対して、人類は生き残れるのでしょうか?

サラシナショウマ

サラシナショウマ
晒菜升麻、更科升麻
Cimicifuga simplex

  • 目:キンポウゲ目
  • 科:キンポウゲ科
  • 属:サラシナショウマ属

8月から9月ごろ咲きます。高さは1メートルくらい。花穂の長さは20センチから30センチほど。

同じキンポウゲ科のルイヨウショウマと似たブラシ系の花ですね。こちらは大型ブラシって感じでしょうか。眩しいくらいの白です。漢方ではキンポウゲ科の植物であるサラシナショウマとその近縁種の根茎を生薬として使いますが、その際の名前が「ショウマ」です。解熱、解毒剤の効果があるそうです。

ツユクサ

ツユクサ
露草
Commelina communis

  • 目:ツユクサ目
  • 科:ツユクサ科
  • 属:ツユクサ属

高さは30から50センチくらいで、花の時期は7から9月くらい、と手元の図鑑には書いてあるけど10月の末でもけっこう咲いています。温暖化のせい?みずみずしい青色の花は夏のイメージだったんだけど。

朝咲いて午後にはしぼむそうなので、夕方に散歩をしていると、花はなかなか見られない。
道端で普通にたくさん咲いていますが、そこいらに咲いているからといって雑草あつかいするにはもったいない、かわいい花です。

エゾトリカブト

エゾトリカブト
蝦夷鳥兜
Aconitum yezoense

  • 目:キンポウゲ目
  • 科:キンポウゲ科
  • 属:トリカブト属

60センチから150センチくらい。8月から9月ごろ、紫色の花をつける。葉は大きく切れ込み3片に分かれる。

言わずと知れた毒を持つ花です。昔トリカブト殺人事件なんてのもありましたが、古くから毒殺にも使われていました。エゾトリカブトはトリカブト属の中でも最も毒性が強い植物です。根、花、茎、葉で毒性に違いがありアイヌの人たちは矢の先端に即効性の弱い毒と遅効性の強い毒を塗り重ねて狩猟に使用していたそうです。
一方で漢方では弱毒処理がおこなわれた上で薬として使われたそうで、人間ってすごいを通り越して怖いわぁ。最初の人はどうやって、効用を確かめたんだろうね。

解毒剤はありません。うっかり触らないように。
でも、そこいら辺に普通にあったりするんだよね。

葉っぱは、ニリンソウとよく似ているから間違えて食べちゃダメだよと、よく言われています。ニリンソウは山菜として食べられていますからね。

どおです?似てますか?花が咲いてなけりゃ、わからないかもしれませんね。

イヌタデ

イヌタデ
犬蓼
Persicaria longiseta

  • 目:ナデシコ目
  • 科:タデ科
  • 属:イヌタデ属

6月から10月くらい。20センチから50センチくらいで、赤紫のちっちゃな花を密に付ける。
道端で普通に見られる、いわゆる雑草。葉は互生して、細長い楕円形。うっすら黒っぽい模様が見えるのは、ミズヒキ(タデ科 イヌタデ族)と同じイヌタデ族の特徴。

イヌムギとかイヌエンジュとか植物名には「イヌ」と名のつくものがありますが、本物に比べて役に立たないとか、格下という意味があるそうです。香辛料などに使われるヤナギタデに対して、何の役にも立たないタデということで、「イヌタデ」になったらしい。植物学者には、たぶん猫派が多いんだと思う。

よく見ると、色もきれいで可愛いんだけど、あんまりたくさんになると、ちょっとうっとうしいかな。近所の空き地でよく見かけます。

ハエドクソウ

ハエドクソウ
蠅毒草
Phryma leptostachya subsp asiatica

  • 目:シソ目
  • 科:ハエドクソウ科
  • 属:ハエドクソウ属

高さは50から60センチくらい。7月から8月ころ淡い桃色で筒状の花を咲かせる。葉は対生して長い葉柄(ようへい)を持ち、鋸葉。果実の先端に3本の小さな赤い棘が見える。

有毒成分を含み、ハエ取り紙をを作るのに使われたのが、「ハエドクソウ」の由来らしい。
今の若い人は、ハエ取り紙なんて見たことないだろうな。Amazonで調べたら、ハエ取りリボンなんてちょっとおしゃれになった名前で今でも売られているらしい。

キンミズヒキ

キンミズヒキ
金水引
Agrimonia pilosa var. japonica

  • 目:バラ目
  • 科:バラ科
  • 属:キンミズヒキ属

7月末から9月初めくらい。茎の高さは1メートルほど。枝先にたくさんの黄色い花をつける。葉は5から9枚の小葉でとがった鋸葉。円山の散策路で普通に見られる。

赤いミズヒキに対して、黄色いのでキンミズヒキというこちらもおめでたい名前がついていますが、ミズヒキはダテ科だがキンミズヒキはバラ科です。花は1センチ以下ですが、たくさんつくので目立ちます。果実には棘があって、衣服や動物の毛について種が運ばれます。

ミズヒキ

ミズヒキ
水引
Persicaria filiformis

  • 目:ナデシコ目
  • 科:タデ科
  • 属:イヌタデ属

8月初め頃から咲き始める。高さは60から80センチくらい。長い穂に小さな花がまばらに付く。葉には黒い模様が付くので花が咲いていなくてもすぐにわかるが、花が咲く頃には大抵の場合模様は消えてしまうようだ。

9月にもなると、何がおめでたいのか円山の散策路のあたりは、ミズヒキだらけだ。
赤と白が混じった花が紐状に連なる感じが、ご祝儀袋や正月飾りに使われる紅白の水引に似ているってことで、「ミズヒキ」の名前がついたそうですが、こうもそこらじゅうミズヒキだらけだと、ありがたみも薄まりそう。

カキドオシ

カキドオシ
垣通し
Glechoma hederacea L. subsp. grandis (A.Gray) H.Hara

  • 目:シソ目
  • 科:シソ科
  • 属:カキドオシ属

カキドオシ(垣通し)、別名、レンセンソウ(連銭草)、カントリソウ(癇取草)ともよばれる。
ツル性の多年草で、高さは20センチほど。丸みを帯びた鋸葉で柄があり、葉は対生。5月の中頃花が咲く。円山のお墓の辺りでよく見かけます。「垣通し」という名前は、道端や垣根のところなどによく咲いているということでしょうか。
花弁には斑点があり、花の中にブラシのような毛があります。

食用や薬草として利用されていたそうで、サラダや天ぷら、ハーブティや健康酒などとしても使われます。一見地味だけど、活躍してたんだね。