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エゾリス通信

北海道札幌市の円山公園周辺は、 エゾリスをはじめとして様々な野鳥や、植物が豊富です。都市の中の原始林を楽しみながら未来に残しましょう。

ハト三種盛り合わせ

アオバトとキジバト-スケッチ

円山周辺には、三種類のハトがいます。昔はヤマバトと呼ばれ、一緒くたにされていたのがアオバトとキジバト。山に住んでいるハトっていうことですね。一方カワラバトという種類が人に飼われて、その後野生化してしまったものがドバトと呼ばれています。

アオバトは緑色の体色で羽のところが暗い赤紫色なのがオス、全体的に緑色なのがメスです。キジバトは背中がウロコ模様で、首のところにスポーツメーカーのロゴマークのように青と黒のライン模様が貼り付いています。ドバトは人に飼われて品種改良を重ねてきたためか、さまざまな色をしていますが、よく見かける全体的に灰色で羽根に黒い2本線があり、首元が緑色と赤紫っぽい構造色をしているのが、原種のカワラバトに近い色合いだそうです。

大通公園でたくさん群れているのがドバトですね。円山公園でも時々見ます。
姿はあまり見ないけれど、円山公園でもたまに聞こえる「デーデー、ボッポー」と鳴いているのはキジバトです。さらに遠くの方で鳴いているように聞こえる「オーオアオー、アオー」は、アオバトです。特徴的な鳴き方なので、すぐにわかります。

海水を飲んでいるアオバト?!

小樽海岸では、アオバトが群れで飛んできて海水を飲んでいるそうな。森の中に住んでいるのに、わざわざ海岸まで飛んでいって海水を飲むのは、主食の果実にはナトリウムが少ないので塩分やミネラルを補給するためだそうですが・・・。
アオバトの全部が全部、海水を飲んでいるわけでも無いようですし、果実が主食の野鳥なんて他にもいろいろいるだろうし、なんだか釈然としない。私はしょっぱいものをあまり好まないのだけれど、ラーメンの汁を全部飲み干したり、焼き魚に醤油をドボドボかけて食べる塩味大好きな人もいるのだから、「あそこの海水が美味くてたまんねぇぜ」と言って行列になって飲みにきている一団があるんじゃないのかなと、思ったりします。好みの問題?

ドラマに欠かせないキジバトの声

朝の場面で窓の外から聞こえてくる「チュン、チュン」というスズメの声と並んで、ちょっと田舎や里山、昔の森や山が生活の中にあった時代の場面で聞こえてくるのが「デーデー、ボッポー」のキジバト。これは定番ですね。野鳥の声って結構ドラマの中で、時間帯や場所を表すための背景音として便利に使われていますよね。こないだ見た大河ドラマの中でもキジバトの声が聞こえてきました。

ドバトは勘定に入れません

野鳥の会の探鳥会で、最後に「どんな鳥が見られましたかー?」と聞かれて「ドバトを見ました!」っていうと、かえってくる答えが「ドバトは野鳥に含みません」
もともと人に飼われていて野生化したものだから、野鳥の仲間に入れてもらえないドバトです。
野鳥じゃないなら、なんなんだよ?って感じですが、「野良バト」かな?
エサはしっかり人間からもらい、人が近づいても我関せず、警戒心ゼロだけど人のそばにいれば他の動物に襲われにくいドバトは、ある意味野鳥よりもたくましいかも。

2種類のスズメ

ニュウナイスズメ-スケッチ

街なかでよく見かけるスズメ。わざわざ公園や林までいかなくても、家の庭にもやってきます。最近は電柱や標識のパイプの所に巣を作ったり、とっても身近な鳥で、1年中見かけますね。あんまり当たり前にいるので、近くにいても見えていないのかも知れません。

ところで、札幌にはもう1種類のスズメがいます。ニュウナイスズメです。

円山では、見たことがないんだけど、西岡水源池で何度か見かけました。
北海道では、繁殖のために本州の方からやってくるので、夏鳥です。スズメよりも赤っぽくて、ほっぺたの斑点がないので見分けられます。住処は森や林なので、スズメのように街なかで見ることは、ほとんどありません。

そういえば、むかし円山公園の探鳥会で樹の間を小さな影がササッと飛んで、動きは早いし、色や特徴も全然見分けられなくて、一体何の鳥だろうと思っていたら、野鳥の会のお世話係の人が
「いまのはスズメです」と、断言。
さすが!こんな一瞬でも見分けられるんだ。すごーい!と思っていたら、オチは
「チュン、チュンと鳴いていました」でした。
なーんだとなったのですが同時に、姿かたちだけじゃなくて、いろんな情報に精神を集中しなけりゃいけないのねと、感心したのでした。

なんだ、スズメか・・・と、思っていたら、実はニュウナイスズメかも知れませんよ。

1年中見られる小鳥たち

ヤマガラ-スケッチ

円山で1年中見られるかわいい小鳥たち。みんな何となく似ているので、まとめてカラ類と呼ばれています。中でもオレンジ色がひときわ目立つヤマガラは、膨張色のせいか大きく見えます。ゴジュウカラやシジュウカラとほとんど変わらないはずなんだけど。

名前の後ろに「カラ」とか「ガラ」とかついているから、ひとまとめにしちゃってるけど、あれ?なんか雰囲気が違うのが1羽混じってる・・・でも、まぁいいか。
ちなみに、ヤマガラ、シジュウカラ、ハシブトガラ、コガラ、ヒガラは、「スズメ目シジュウカラ科」でゴジュウカラは、「スズメ目ゴジュウカラ科」です。ヤマガラ、ゴジュウカラ、シジュウカラは14センチ前後。ハシブトガラとコガラは、12センチくらい。ヒガラは11センチくらいでいちばん小さい。

円山公園で普通に見かけます。チョコマカ動き回って、小さいので最初は双眼鏡でとらえるのは、ちょっと難しいかも。でも割と近くで飛び回っているから裸眼で見分けられると思うよ。
わかっているとは思うけど、スケッチの6兄弟は誇張して描いてるからね。実際のヤマガラは、ボタンやポケットの付いたチョッキは、着ていませんよ。

サクラの蜜が大好きなメジロ

メジロ-スケッチ

桜の季節。円山公園はお花見でも大人気なので、大勢の人がやってきます。花の蜜が大好きなメジロもやってきます。ひと目でメジロとわかる特徴的な目の周りのアイリングは、白い羽毛です。エゾヤマザクラのピンクにメジロの緑色が引き立ちます。

一方地上では人間たちがどんちゃん騒ぎ。北海道のお花見は、なぜかジンギスカンをやりたがる。いたるところでブルーシートが敷かれ、羊肉の煙と匂いが立ち込める。園内のゴミ箱は溢れかえり、大喜びのカラスたちが集まってくる。

サクラにメジロ。ジンギスカンにカラス。風流と無粋がごちゃ混ぜでカオス状態。

ところで、円山公園ではコロナ禍以降、公園内での火気使用禁止となったようで、今年もジンギスカンは出来ないようです。カラスはがっかりだろうけど、近所の人達はあの煙と匂いがなくなって喜んでいるかも。

飛ぶ宝石 カワセミ

カワセミ-スケッチ

「飛ぶ宝石」なんてかっこいいキャッチフレーズでしょう。羽は構造色のため、光のあたり具合によって濃いブルーに見えたり、緑がかって見えたり、様々な表情を見せます。

漢字で書くと「翡翠」、宝石の翡翠(ヒスイ)も同じ字ですが、カワセミの方の「翡翠(カワセミ)」が先だそうです。昔中国でヒスイを「翡翠(カワセミ)の如き輝き」と呼んだことによりカワセミと同じ「翡翠」という漢字が当てられたそうです。
カワセミの方が先ってことは、よく考えると「飛ぶ宝石」という言い方はおかしいですね。宝石のヒスイの方を「飛ばないカワセミ」と呼ぶべきじゃない?
どちらにしても、美しい野鳥であることに変わりありません。

ところで、円山ではカワセミを見ることはほとんどありませんが、私は一度だけ円山公園の池で見ました。5月の初めだったので、ちょうど渡ってきたところで、「通りがかりにちょっとだけ寄ってみた」という顔をしてました。

運が良ければ出会えるかもしれませんね。昔は円山でもアカショウビンが見られたそうですから、カワセミならまだチャンスがあるかも。

頬袋いっぱいに詰め込んだシマリス

シマリス-スケッチ

春になると冬眠から覚めたシマリスが寝ぼけた顔で出てきます。エゾリスは冬眠しないので、1年中動き回っていますが、シマリスは冬の間は土の中で寝ているので、春から秋までしか見られません。地上性のリスなので、登山道とか地面の上でよく見かけます。

日本にいるシマリスは、北海道に住む、正確に言うとシベリアシマリスの亜種エゾシマリスだけです。
よく飼われているペットのシマリスは、シベリアシマリスの亜種チョウセンシマリスです。チョウセンシマリスはもともと日本にはいないのでペット用として輸入された種です。本州にはシマリスはいないので、本州の森でシマリスを見かけたら、それは飼われていたのが逃げ出したか、飼えなくなって外に放たれた外来種のチョウセンシマリスです。
北海道でもペットとして飼われているシマリスはいるので、それが外に出てしまいエゾシマリスと交雑する可能性が指摘されています。チョウセンシマリスとエゾシマリスは外見上は見分けがつきません。人間に平気で近づいてくるのは、ペットで飼われていたチョウセンシマリスかも知れません。

最近、円山に登るとヒマワリの種が置かれているところがあります。たぶん ”ばえる写真” が取りたくて野鳥やリスが来るように置いているんでしょうね。でも、公園や森、山の中で野生動物に餌をやるのはやめましょう。餌はもらえるもんだと思ってしまうと、自分で餌を見つけられなくなり、生態系が崩れてしまいます。
餌の乏しい冬の間、自宅の庭先に餌台を置くのは否定しませんが、鳥やリスを呼び寄せるために森や山で餌をまくなんて、やるべきではありません。
札幌市(https://www.city.sapporo.jp/kurashi/animal/choju/soudan/#e)でもいろいろと啓蒙活動をやっていますが、なかなか理解してもらえていないようで、残念です。

そのうち、円山で見かけるシマリスが、いつの間にかチョウセンシマリスに入れ替わってしまい、せっせと人間が餌を運んでやっている、なんてことになったらイヤだよね。

幸せの青い鳥選手権

オオルリとコルリ-スケッチ

幸せの青い鳥はどれだ!なんていうのは、よくある野鳥ネタですが、だいたいそこで出てくるのは、オオルリ、コルリ、ルリビタキです。円山でもこの三種は見られます。春先は特にオオルリはきれいな声でさえずっているので、目につきやすいです。

どれが青い鳥にふさわしいかといえば、私的には青い鳥といえばオオルリ。鮮やかな瑠璃色と気品のある佇まい、白と黒とのコントラストもあってより一層青が目立ちます。1位はオオルリに決定。

ルリビタキ-スケッチ

2位は僅差でルリビタキかな。明るめの青と脇腹のオレンジがとっても美しくて、幸せな気分になります。青い鳥といいながらも、オシャレなオレンジ色をちょこっと使用しているのが、反則すれすれですが、かわいいからOKです。
3位はコルリ。オオルリは黒が青を引き締めているし、ルリビタキはオレンジが青を際立たせています。その点コルリは青の見せ方が少し弱い気がします。

結局青をどううまく見せるかの勝負になってしまった。幸福感はあんまり関係ありません。

本家、幸せの青い鳥ってどれ?

実際のところ、幸せの青い鳥論争(?)の決着は、どこもウヤムヤでお茶を濁している感じ。こうなると本家「青い鳥」の作者メーテル・リンクの頭の中にあった青い鳥はいったいどの種なのかが気になります。メーテル・リンクが暮らしていた場所には、青い鳥はいたのか?

メーテル・リンクの出身地ベルギーの青い鳥を調べてみた

List of birds of Belgium」というベルギーの野鳥リストを見ると、それらしい青い鳥はルリビタキとイソヒヨドリが載っています。オオルリやコルリは、ベルギーでは見られないようです。ルリビタキはいかにも幸せそうな雰囲気がありますが、イソヒヨドリは青がちょっとくすんでいて、お腹も錆色で青と同じくらい目立っているので、青い鳥と呼ぶにはどうなんだろう。
と思っていたら、どうやら日本のイソヒヨドリは亜種で、種としてのイソヒヨドリ(Monticola solitarius英名 blue rock thrush は全身青色なので、まぁ鮮やかな青とは言えないけれど、十分青い鳥の範疇には入りそうです。

もうちょっと調べていると意外なニュースを見つけました。

https://www.brusselstimes.com/864098/rare-blue-rock-thrush-turns-up-in-belgium-for-first-time-in-147-years

ベルギーで珍しいイソヒヨドリが147年ぶりに出現

ベルギーにおけるこれまでのイソヒヨドリの最初で唯一の目撃例は、1877 年にナミュール州オロイ市で鳥が捕獲されたことに遡ります。
ベルギーの野鳥ファンにとって、イソヒヨドリの発見は素晴らしいニュースであり、すでに100人以上のバードウォッチャーがデュルビュイに殺到している。「熱狂的な野鳥観察家にとって、この鳥は新年の始まりにぴったりの鳥です。

The Brussels Times , 2024年 1月 6日 土曜日

どうやら、迷鳥のようです。野鳥リストにあったイソヒヨドリは、この時の記録かもしれません。記事の写真を見るとまさに全身青いイソヒヨドリ。やっぱり珍しかったんだね。

そうなるとベルギーで普段見ることが出来る青い鳥は、ルリビタキってことで、いいんじゃないでしょうか。幸せの青い鳥の正体は、ルリビタキ!!

いや、待て待て。
記事をよく読んだら、「イソヒヨドリの最初で唯一の目撃例は、1877年」と書いてある。メーテル・リンクさんの生まれたのは、1862年。て、ことは当時15歳。1877年の青い鳥捕獲のびっくりニュースも見ていたんじゃなかろうか。
それに原作ではかごの中にいた鳥「tourterelle」フランス語で「キジバト」が青い鳥に変わったと書いてある。キジバトは33cm,イソヒヨドリは23cm,ルリビタキは14cm。33cmが14cmに変わっていたら色が変わったどころじゃなくて、違う鳥になちゃった!だよね。体型的にもイソヒヨドリのほうがまだ近いか。うーん。

心情的には幸せの青い鳥はルリビタキがピッタリと思うけど、少年の頃青い鳥発見のニュースに心ときめいて「青い鳥」を書いた説をとって、「イソヒヨドリ」で最終決定といたします(個人的見解)。
残念ながら円山あたりではイソヒヨドリは見られないかな。

それはそれとして、オオルリでもコルリでもルリビタキでも、青い鳥はなかなかいないから、見られたらラッキー!と思って、幸福な気分に浸ってください。


美声でしかも美しい キビタキ

キビタキ-スケッチ

春になって円山でのバードウォッチングで一番の楽しみは、なんといってもキビタキとオオルリです。ちょうどゴールデンウィークの頃やってきます。

新緑の中で目に付きやすいのは、キビタキです。体の色もいかにも春が来たよーって感じで、黒と黄色の鮮やかなコントラストがとってもきれいです。さらに、さらに、鳴き声まで美しい!
「ピルル、ピッピッピィチョ」とか「クルル、ピッ、ピロピロ」とか、なんか複雑に鳴いています。同じようなフレーズを繰り返して鳴くのが特徴です。
林の中を歩いていると、「聞いて聞いて、聞いてよ」と呼び止められるみたいに枝に止まって鳴いてくれたりします。キビタキのメスじゃなくても、惚れちゃうかも。

1年中駆けまわっている エゾリス

エゾリス-スケッチ

エゾリスは、冬眠はしないので、1年中見ることが出来ます。山の中や、神宮の境内にもいます。
たいてい木の上をカッカッと爪の音を立てながら駆け回っています。

初めて円山に登った時、眼の前を横切っていったのがエゾリスでした。山の中でいきなり現れたので、何だこのでかい動物は?と思いました。それまでエゾリスは見たことがなかったし、リスって言えば、小さいシマリスくらいしかイメージがありませんでした。でかいと言ってもせいぜい25センチ位で、シマリスの倍くらいなんですけど。その後円山にはどこにでもいて、しょっちゅう見られるものだと知りました。

エゾリスは、木の枝にちょこんと座ってよくクルミを食べています。
カリカリと音をたてて筋の所をかじり、まっぷたつにします。
林の中を歩いていると、よく二つに割れたクルミが落ちていますが、これはエゾリスが食べた後です。
それにしても、かたいオニグルミをきれいに割っていますね。見るたびに感心してしまいます。
時々買ってきたクルミで餌やりをしている人がいるらしくて、大きめのクルミが地面に散らばっているのを見かけます。こんなのばっかり食べてたら、歯とか顎が弱くなってかたいオニグルミなんか食べたくないっ、てならないか心配。

公園の野鳥や動物に餌はやらないでね。

なんか得した気分 オオアカゲラ

オオアカゲラ-スケッチ
オオアカゲラ-スケッチ

木を叩く音に立ち止まって探すと、アカゲラがいる。いや、待てよ、とよーく見るとオオアカゲラだ!
「なんか得した気分」これがオオアカゲラである。アカゲラよりも見られる頻度が少ないからかな。
スケッチは、クルミをくわえて隠し場所を探しているところ。

アカゲラは24センチくらい。オオアカゲラは28センチくらい。オオアカゲラっていうくらいだから当然アカゲラよりも少し大きめ。アカゲラはお腹や頭の赤も明るい赤で胸の白とのコントラストもはっきりしていて、スッキリした印象。オオアカゲラは、からだの黒い線やお腹の少し薄めの赤、翼の白い斑点もばらけていて、年輪を感じさせる。同じ歳かもしれないけど。

オオアカゲラを見つけると、ちょっとだけテンションが上がるんだよね。