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エゾリス通信

北海道札幌市の円山公園周辺は、 エゾリスをはじめとして様々な野鳥や、植物が豊富です。都市の中の原始林を楽しみながら未来に残しましょう。

信号待ちの車列に隠れて獲物を狙うタカ

都市に生息する鳥類は、複雑で過酷な環境に適応する必要がありますが、クーパータカが冬季に生息するニュージャージー州の都市部の生息地でみせた、ビックリするような狩猟行動の記事です。クーパータカっていうのは、カナダ南部からメキシコに掛けて分布する中型のタカです。

観察された行動は、周囲の状況を頭の中で地図化し、音信号と交通パターンの変化との関連性を理解することを必要としていました。これは、おそらく街に引っ越してきたばかりの若い鳥にとっては驚くべき知的偉業です。野生動物が人間の交通パターンをこれほど深く理解し、利用した例は、これまで報告されていません。

Frontiers都市で冬を越す猛禽類の驚くべき適応

その家の住人は定期的に家の庭で夕食をとっていた。翌朝になると残ったパンくずなどを求めて、スズメやヨーロッパムクドリなどが集まってくる。家の前は道路で交差点の信号機が近かったため、朝は通勤の車が列を作っていた。

観察者は、青信号を待つ車列の影に隠れて低空飛行をし、家の前まで小鳥たちに見つかることなく進み、車の間を抜けていきなり襲いかかるタカを発見しました。その後の観察で、歩行者が渡るための信号の延長ボタンを押すと、音響信号が作動し通常よりも車の停止時間が伸びて、車列が長くなるときにタカが攻撃態勢に移ることがわかりました。

週末で通勤車両が少なく、渋滞が発生しない場合や、夕方に雨が降り住人が庭で食事をしなかった翌日は、タカは現れなかったようです。

観察された範囲は、限定された環境と個体なので再現性はなさそうですが、都会に暮らす猛禽類が、どんどん変わっていく都市環境にうまく定着する知能を備えているのは、確かでしょう。それにしても、車列の影に隠れて低空飛行で近づくなんて、すごい戦術です。しかも信号音が聞こえたら、渋滞が長くなっているから、「今がチャンス!」と、タイミングを図るなんて、優秀なサッカーの監督とかにもなれそう。

森林が減って住むところが限られてきたり、どんどん気温が上がっていったり、現在のように環境の変化スピードがものすごく早い時代には、知能も高くないと生きていけないのかもしれません。

位置エネルギーで蓄電

ちょっとばかり古いニュースなんだけど。
再生エネルギーを利用するうえで、必要不可欠な蓄電技術。でもなかなか画期的な蓄電池が出てきませんね。そこで原始的とも言える単純な方法で蓄電しようという計画があるそうです。

世界で最も高いビル? 高さ1000メートルのバッテリー

そこで「超高層蓄電ビル」の登場だ。世界で有数の超高層ビルを複数手掛けた建築・工学企業、スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリル(SOM)は5月末、エネルギー貯蔵企業エナジー・ボールトと提携して、新しい重力蓄電ソリューションを開発すると発表した。

これには、電力需要が低いときに送電網からの電力で動くモーターを使って巨大なブロックを持ち上げる超高層ビルの設計も含まれる。これらのブロックは「位置」エネルギーとして電気を蓄える。需要があるときにはブロックが下がってエネルギーを放出し、それが電力に変換される。

CNN 2024.08.08

いろいろと考えるものですね。シンプル・イズ・ベスト!
最初見たときは、面白いことを考えるものだなと思いました。でもよく考えたら、超高層で重量のあるものを高層に持ってくるのは、構造上大変だし、しかも吊り下げられた状態で上下に移動する。免震上のバランスとかどうなるんだろう。ある程度スペースも取るだろうし、それが各階ドドッーと貫いていたら、床面積的にも結構取られちゃうし、経済的に割が合うのかなぁ、なんてビルのオーナー気分で余計な心配してしてしまいました。

揚水発電とかも位置エネルギーを使った蓄電システムは他にもあるけど、高低差を利用するだけのとっても単純な仕組みだから、なんかもう少しうまい方法がないのかなと、考えてみました。

日本は海洋面積が世界第6位

いつも思うんだけど、これだけの海に囲まれているのに、うまいこと活用できてるの?と。何しろ日本の周りには深い海もいっぱいあるわけです。陸地から10km程度でも水深1,000m以上の海域が結構あるじゃないの。陸地で超高層ビルを建てて位置エネルギーを利用するより、海の底に重りを落とすほうが簡単じゃない?

深海位置エネルギー蓄電システム
深海位置エネルギー蓄電システム

沖合の浮島に再生エネルギー基地を作る。イラストはわかりやすいように風車型風力発電になっているけど、縦型のマグナス式風力発電も期待している。背が高くないから、構造的にも安定しそうだし、台風時にも発電できる。何しろ野鳥も安心。海上なら敷地の問題はないから太陽光発電でもいいのかもしれない。発電機に巻き付けたロープの先に鉄製(密度の高い材料)の重りを付け、発電量に余裕があるときに、海面まで重りを巻き上げておき、電力需要が高まったら、重りを落として発電機を回し発電する。実にシンプル。これを複数台設置して、そのうちいくつかを錨として海底に沈めておき、かわりばんこに起動させればいいんじゃないかな。もちろん海中だから、浮力があるので地上よりもエネルギー効率は落ちるけれど、海中に吊るすだけだから、たくさん設置すればいい。たくさんあれば、そんなに深いところまでいかなくてもいいだろうし。
名付けて、「深海位置エネルギー蓄電システム」おっ、なんかカッコイイかも。

近くに深い海はいっぱいあるし、技術もある。毎年毎年巨大なエネルギーの台風もやってくる(これは異常気象でどうなるかわからないけど)。こんなに条件のいい国ってなかなか無い気がするんだけどな。
それとも、もうとっくにこんなことは考えられていて、着々と計画が進められていたりしないのかなぁ。

そのうち、再生エネルギー基地だけじゃなく洋上作物工場とか、どんどん規模を大きくして自立型の海上都市までいけば、地球温暖化で海面が上昇してもなんとかなるかもね。

今年の流行色

アメリカの色見本の会社、パントン社の「カラー・オブ・ザ・イヤー 2025」は「モカムース」だそうです。ナショナルジオグラフィックのニュースに載っていました。ん?どうゆうこと?

「今年の流行色」の原点はなんと鳥だった、パントン社の色見本

同社が毎年12月に発表する翌年のトレンドカラーは、デザインの流行だけでなく、現代文化の象徴でもある。パントンがトレンドをリードするデジタルデザインの世界は、意外にも、博物館のほこりっぽい棚に並ぶ100年前の鳥の標本という、一見全くかけ離れている世界と密接な関係がある。

ナショナル ジオグラフィック日本版サイト 2025.01.04

米スミソニアン国立自然史博物館で米国の鳥類の生態を記録していた鳥類学者で画家のロバート・リッジウェイは、仕事上、鳥類の色を正確に描写するため、詳細な色辞典を初めて作った。それは、1960年代にパントン社が始めた色見本「パントンマッチングシステム」の原点だったというお話し。鳥の研究が高じて広く世界で活用される色見本になったという、何がどう転がって行くのかわからない。

でも色見本制作のきっかけがお花の色を極めたい!なら何となくわかる気がするけど、鳥の色を分類したいとなると、感覚的にずいぶん難しそうですね。いや、屋外じゃなくて博物館の鳥なら動かないから、羽毛をひとつ一つ調べる分には、花より変色が少なそうだからやりやすいのか・・・

ということで、パントン社が発表した2025年の流行色「モカムース」は、こんな色です。

「モカムース」って雰囲気で勝手につけた色の名前だと思うけど、その色によるイメージを表していて、いい感じ。後付って言えば後付なんだろうけどさ。色にはそれ自体が持っているイメージがあって、それによって感情や気分も影響を受けたりする。名前をつけることによって、そのイメージをより強化しているんだね。

話を無理やり戻すけど、「モカムース」色の野鳥ってなんだろうね。野鳥の色って屋外で見ると日向や日陰とか条件によってずいぶん違って見えるから難しい。 ミソサザイなんてどうだろう?少し色が強いかな?

ちなみに、もう一つの代表的な流行色があります。インターカラー(国際流行色委員会)が選定したトレンドカラーを基にJAFCA(日本流行色協会)が選定したもので、「2025年を象徴するカラー」は「ホライゾングリーン」です。

こんな色の鳥はいるかなぁ。外国の鳥ならいそうな気もするけど、あんまり思い浮かばないな。あ、こちらは鳥の話題とは関係ないから、無理やり結びつけなくてもいいか。

ついでのついでだけど、毎年いろいろな場所で「今年の流行色」が発表されますよね。「今年の流行りはこれよ」なんて最先端をいっている気になったりします。でも、現代の大量生産・大量販売の仕組みでは、企画、計画の段階で事前にある程度「この色でいこう」と決めておく必要があります。だから、業界全体でさまざまな動向を調査したうえで、「今年の流行色はこれです」と発表するんですね。流行色の予測というより、この色の製品をいっぱい作っておくから、どうか流行ってくれー!ってとこでしょうか。
さて、今年は思惑通りの色が流行るのか、全く違う色がトレンドになるのか・・・ミソサザイも注目されるかな?

ウグイスの谷渡り

つくばサイエンスニュースでウグイスの谷渡り鳴きに関する新説の記事が出ていました。

ウグイスの「谷渡り鳴き」で新説―警報だとする従来説を否定

(独)国立科学博物館は10月29日、ウグイスが発する「谷渡り鳴き」は警報ではなくメスへのアピールであることが分かったとする新説を発表した。谷渡り鳴きは、近くの仲間に危険が近づいていることを知らせる警報だとこれまで見られてきたが、警報ではなくメスに対するオスのアピールであることを科学的に実証した。

つくばサイエンスニュース 2024年11月11日

ウグイスの鳴き方には三種類あって

  • さえずり:「ホーホケキョ」求愛行動(オスのみ)
  • 谷渡り:「ピルルルルルケッキョケッキョ…」警報?(オスのみ)
  • 地鳴き:「チャッ、チャッ」日常会話(オスもメスも)

と、一般的には考えられてきたんだけど、谷渡り鳴きは危険がない時にも鳴いているし、そもそもちゃんとした研究はされてなかったんじゃない?ということでこの研究が始まったらしい。そういえば、人が近づいたときもすぐそばで「ケキョケッキョケッキョ・・・」と鳴いているよね。

研究によると、新潟県ではオスとメスが渡ってくる時期がズレていて、先に渡ってきたオスはメスがいない時期には谷渡り鳴きはあまりせず、メスが来て繁殖期になると谷渡り鳴きが始まるそうだ。
北海道もそうなのかな?春が来たらオスだけの時期に地鳴きしかしないのか確かめてみよう。と一瞬思ったんだけど、ウグイスって藪の中にいるからなかなか見つけられないんだよね。それにオスかメスかも見た目でわからないし。「ホーホケキョッ」って鳴いてくれるからはじめて「あ、ウグイスだ」とわかるんだけど、そのときにはもう繁殖期に入っているってことだ。ウーン、やっぱり研究は地道なフィールドワークの成果なんだね。

ついに双眼鏡にもAI

WIRED の記事で、スワロフスキー・オプティックの新製品「AX Visio」をレビューしています。

野鳥の名前を教えてくれる「AI双眼鏡」が最高だった

AX Visioはカメラを内蔵しており、画像認識ソフトウェアを活用して9,000種以上の鳥をリアルタイムで識別できる。また、一部の哺乳類や昆虫も識別でき、野生動物の観察において非常に便利な双眼鏡となっている。

WIRED : Lola Méndez 2024.11.13

探鳥会などに行くと、みなさん様々な双眼鏡を首から下げております。ベテランのツワモノの中には見るからに高級そうな海外メーカーもチラホラ。スワロフスキーもその中の一つだと思うんだけど、なんと双眼鏡自体にAIを搭載しちゃって、この鳥は何ていう鳥ですよって教えてくれるらしい。もうレンズの性能だけじゃ競えない世界に突入?何でもかんでもAI搭載というのもどうかと思うけれど。

GPSも積んでいるので、生息域による識別にも対応しているし、9,000種以上の鳥をリアルタイムで識別できるそうだ。驚くのはまだ早い。値段もビックリ、¥800,000(税別)だって。
AIが無くても、高級双眼鏡は40万円くらいするものも平気である世界だから、もはや高いんだか、安いんだか、訳が分からない気がしてくるが、とりあえず、探鳥会では注目を集めること間違いなし!

ところで、バードウォッチングに使う双眼鏡は、ウン十万円もする高級品は必要ありません。ピンからキリまであるから最初は、安いものでも十分。楽しくなってきたらちょっとだけ良い双眼鏡にしてみようかなってことになっていくんだけど、さらに趣味が高じて沼にハマると、レンズが明るいとか、くっきり見えるとか、だんだんいいのが欲しくなってくるんだよねぇ。きりが無いから気をつけなくちゃ。