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エゾリス通信

北海道札幌市の円山公園周辺は、 エゾリスをはじめとして様々な野鳥や、植物が豊富です。都市の中の原始林を楽しみながら未来に残しましょう。

今年の流行色

アメリカの色見本の会社、パントン社の「カラー・オブ・ザ・イヤー 2025」は「モカムース」だそうです。ナショナルジオグラフィックのニュースに載っていました。ん?どうゆうこと?

「今年の流行色」の原点はなんと鳥だった、パントン社の色見本

同社が毎年12月に発表する翌年のトレンドカラーは、デザインの流行だけでなく、現代文化の象徴でもある。パントンがトレンドをリードするデジタルデザインの世界は、意外にも、博物館のほこりっぽい棚に並ぶ100年前の鳥の標本という、一見全くかけ離れている世界と密接な関係がある。

ナショナル ジオグラフィック日本版サイト 2025.01.04

米スミソニアン国立自然史博物館で米国の鳥類の生態を記録していた鳥類学者で画家のロバート・リッジウェイは、仕事上、鳥類の色を正確に描写するため、詳細な色辞典を初めて作った。それは、1960年代にパントン社が始めた色見本「パントンマッチングシステム」の原点だったというお話し。鳥の研究が高じて広く世界で活用される色見本になったという、何がどう転がって行くのかわからない。

でも色見本制作のきっかけがお花の色を極めたい!なら何となくわかる気がするけど、鳥の色を分類したいとなると、感覚的にずいぶん難しそうですね。いや、屋外じゃなくて博物館の鳥なら動かないから、羽毛をひとつ一つ調べる分には、花より変色が少なそうだからやりやすいのか・・・

ということで、パントン社が発表した2025年の流行色「モカムース」は、こんな色です。

「モカムース」って雰囲気で勝手につけた色の名前だと思うけど、その色によるイメージを表していて、いい感じ。後付って言えば後付なんだろうけどさ。色にはそれ自体が持っているイメージがあって、それによって感情や気分も影響を受けたりする。名前をつけることによって、そのイメージをより強化しているんだね。

話を無理やり戻すけど、「モカムース」色の野鳥ってなんだろうね。野鳥の色って屋外で見ると日向や日陰とか条件によってずいぶん違って見えるから難しい。 ミソサザイなんてどうだろう?少し色が強いかな?

ちなみに、もう一つの代表的な流行色があります。インターカラー(国際流行色委員会)が選定したトレンドカラーを基にJAFCA(日本流行色協会)が選定したもので、「2025年を象徴するカラー」は「ホライゾングリーン」です。

こんな色の鳥はいるかなぁ。外国の鳥ならいそうな気もするけど、あんまり思い浮かばないな。あ、こちらは鳥の話題とは関係ないから、無理やり結びつけなくてもいいか。

ついでのついでだけど、毎年いろいろな場所で「今年の流行色」が発表されますよね。「今年の流行りはこれよ」なんて最先端をいっている気になったりします。でも、現代の大量生産・大量販売の仕組みでは、企画、計画の段階で事前にある程度「この色でいこう」と決めておく必要があります。だから、業界全体でさまざまな動向を調査したうえで、「今年の流行色はこれです」と発表するんですね。流行色の予測というより、この色の製品をいっぱい作っておくから、どうか流行ってくれー!ってとこでしょうか。
さて、今年は思惑通りの色が流行るのか、全く違う色がトレンドになるのか・・・ミソサザイも注目されるかな?

2025年スノーキャンドル

今年も円山公園では、スノーキャンドルが開催されました。
あんまり積極的には宣伝していないようなので、行ってみたらたまたまやっていてラッキー!って感じかな。いろんな形の雪や氷の中に灯るろうそくの炎がきれいです。

観光客向けの大掛かりな雪まつりもいいけど、市内のいろんな公園で、市民参加の小雪像とかスノーキャンドルをやったほうがみんなで楽しめるんじゃないのかな。大通公園の雪まつりの雪像は、子どもが参加するには大掛かりすぎるし、雪国には雪国の冬の楽しみ方がもっとあってもいいよね。

第8版 野鳥辞書を作ってみた

日本鳥類目録改訂第8版が出たので、それに合わせて、フリーの野鳥辞書を作りました。パソコンの日本語入力にユーザー辞書として登録すると、野鳥の名前を入力することで、学名とか目科属などが出てきます。

詳しくは、

2024年 第8版野鳥辞書

またはメニュー項目の「野鳥辞書」をクリック。

アキノキリンソウ

アキノキリンソウ
秋の麒麟草
Solidago virgaurea var. asiatica

  • 目:キク目
  • 科:キク科
  • 属:アキノキリンソウ属

8月末から10月はじめ頃咲いています。黄色く小さな花をたくさんつけます。高さは30センチから80センチくらい。
9月頃円山の登山道に結構咲いています。

アキノキリンソウの高山型で、亜種のミヤマアキノキリンソウというのもあって、背丈が低いとか花が頂部に固まっているとか、総苞片がアキノキリンソウが4列でミヤマアキノキリンソウが3列とか、色々あるらしいんだけど、中間型もあるんで区別が難しいなんて書いてある。よくわかりません。標高225mの円山が高山とも思えないけど・・・

「北海道 山の花図鑑 藻岩・円山・八剣山」を見ると、ミヤマアキノキリンソウは八剣山にあると書いてある。ちなみに、この本ではアキノキリンソウは総苞片が3段、ミヤマアキノキリンソウは4列と書いてあった。書き間違いかな。

ウグイスの谷渡り

つくばサイエンスニュースでウグイスの谷渡り鳴きに関する新説の記事が出ていました。

ウグイスの「谷渡り鳴き」で新説―警報だとする従来説を否定

(独)国立科学博物館は10月29日、ウグイスが発する「谷渡り鳴き」は警報ではなくメスへのアピールであることが分かったとする新説を発表した。谷渡り鳴きは、近くの仲間に危険が近づいていることを知らせる警報だとこれまで見られてきたが、警報ではなくメスに対するオスのアピールであることを科学的に実証した。

つくばサイエンスニュース 2024年11月11日

ウグイスの鳴き方には三種類あって

  • さえずり:「ホーホケキョ」求愛行動(オスのみ)
  • 谷渡り:「ピルルルルルケッキョケッキョ…」警報?(オスのみ)
  • 地鳴き:「チャッ、チャッ」日常会話(オスもメスも)

と、一般的には考えられてきたんだけど、谷渡り鳴きは危険がない時にも鳴いているし、そもそもちゃんとした研究はされてなかったんじゃない?ということでこの研究が始まったらしい。そういえば、人が近づいたときもすぐそばで「ケキョケッキョケッキョ・・・」と鳴いているよね。

研究によると、新潟県ではオスとメスが渡ってくる時期がズレていて、先に渡ってきたオスはメスがいない時期には谷渡り鳴きはあまりせず、メスが来て繁殖期になると谷渡り鳴きが始まるそうだ。
北海道もそうなのかな?春が来たらオスだけの時期に地鳴きしかしないのか確かめてみよう。と一瞬思ったんだけど、ウグイスって藪の中にいるからなかなか見つけられないんだよね。それにオスかメスかも見た目でわからないし。「ホーホケキョッ」って鳴いてくれるからはじめて「あ、ウグイスだ」とわかるんだけど、そのときにはもう繁殖期に入っているってことだ。ウーン、やっぱり研究は地道なフィールドワークの成果なんだね。

ついに双眼鏡にもAI

WIRED の記事で、スワロフスキー・オプティックの新製品「AX Visio」をレビューしています。

野鳥の名前を教えてくれる「AI双眼鏡」が最高だった

AX Visioはカメラを内蔵しており、画像認識ソフトウェアを活用して9,000種以上の鳥をリアルタイムで識別できる。また、一部の哺乳類や昆虫も識別でき、野生動物の観察において非常に便利な双眼鏡となっている。

WIRED : Lola Méndez 2024.11.13

探鳥会などに行くと、みなさん様々な双眼鏡を首から下げております。ベテランのツワモノの中には見るからに高級そうな海外メーカーもチラホラ。スワロフスキーもその中の一つだと思うんだけど、なんと双眼鏡自体にAIを搭載しちゃって、この鳥は何ていう鳥ですよって教えてくれるらしい。もうレンズの性能だけじゃ競えない世界に突入?何でもかんでもAI搭載というのもどうかと思うけれど。

GPSも積んでいるので、生息域による識別にも対応しているし、9,000種以上の鳥をリアルタイムで識別できるそうだ。驚くのはまだ早い。値段もビックリ、¥800,000(税別)だって。
AIが無くても、高級双眼鏡は40万円くらいするものも平気である世界だから、もはや高いんだか、安いんだか、訳が分からない気がしてくるが、とりあえず、探鳥会では注目を集めること間違いなし!

ところで、バードウォッチングに使う双眼鏡は、ウン十万円もする高級品は必要ありません。ピンからキリまであるから最初は、安いものでも十分。楽しくなってきたらちょっとだけ良い双眼鏡にしてみようかなってことになっていくんだけど、さらに趣味が高じて沼にハマると、レンズが明るいとか、くっきり見えるとか、だんだんいいのが欲しくなってくるんだよねぇ。きりが無いから気をつけなくちゃ。

カタバミ

カタバミ
片喰、酢漿草
Oxalis corniculata

  • 目:カタバミ目
  • 科:カタバミ科
  • 属:カタバミ属

花は、5月から9月、大雑把に春から秋です。高さは10センチから30センチくらい。葉は、ハートが3つ合わさった形で、キュート。花が咲いてなくてもわかります。一輪の小さくて黄色い花をつけます。日が当たると咲くようで、曇っていたり夕方には花が閉じています。

近所の駐車場の端っこや道端でよく見かけます。

葉っぱが赤っぽいものは、アカカタバミと呼ぶそうですが、これが都市部のヒートアイランドに対する適応進化ではないかということで、研究が進められているそうです。

都市の熱さで植物は赤く進化する ―ヒートアイランドへの急速な適応進化を初めて実証―

 研究グループは、カタバミという世界中の都市や農地に生えている植物に注目しました。カタバミには、明確な特徴があります。通常の緑の葉を持つ個体だけでなく、真っ赤な葉を持つ個体まで種内に葉色の変異があるのです。そしてカタバミの赤葉は、個体内で緑から赤に変化する樹木の紅葉などと違い、生まれたときから赤いままです。つまりカタバミの葉色の違いの多くは遺伝的に決まっている遺伝的変異といえます。都市のカタバミは路傍に生えており、高温ストレスを強く受けているように見えます。研究グループは、都市部では赤いカタバミが多いことに気が付き、これは都市の高温に対する適応進化かもしれないと考えました。

研究によると、どうやら高温時には、緑の葉よりも赤い葉の方が、光合成で高い活性化を示し、高温ストレスに対して耐性が強いようです。都市の高温ストレスがカタバミを赤く進化させているのではないかとのことです。

詳しくは、こちらの論文から
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abq3542

地球温暖化で、植物も新しい気候に対応するのが大変です。札幌はあまり赤いカタバミを見ないような気がしますが、これから増えてくるかもしれません。そのうち地球上の植物は、ウェルズの「宇宙戦争」に出てきた火星の植物みたいになるのかも。さて、このような環境の変化に対して、人類は生き残れるのでしょうか?

サラシナショウマ

サラシナショウマ
晒菜升麻、更科升麻
Cimicifuga simplex

  • 目:キンポウゲ目
  • 科:キンポウゲ科
  • 属:サラシナショウマ属

8月から9月ごろ咲きます。高さは1メートルくらい。花穂の長さは20センチから30センチほど。

同じキンポウゲ科のルイヨウショウマと似たブラシ系の花ですね。こちらは大型ブラシって感じでしょうか。眩しいくらいの白です。漢方ではキンポウゲ科の植物であるサラシナショウマとその近縁種の根茎を生薬として使いますが、その際の名前が「ショウマ」です。解熱、解毒剤の効果があるそうです。

銀杏

ギンナンの実

すっかり秋という感じで、少々肌寒いです。円山のイチョウの木の下にギンナンの実がたくさん落ちていました。たまーに拾って酒のおつまみにすることもあるんだけど、素手で洗うと手が荒れるとか、実を剥がしてタネを取り出して、乾燥させてとか、手間がかかるのでホントに気が向いた時だけ。何年かに一度くらい。

さすが原始林。このくらい落ちていると、拾い放題だね。食べすぎると中毒になるから気をつけましょう。大人は10粒程度だって。

遊歩道は、一面枯葉の絨毯です。